皆さんこんにちは。

涼しくなり、季節も秋に移り変わりましたね。

 

さて、先日京都にて開催された【三方羽毛懇談会】に参加してきました。
三方羽毛懇談会とは日本・中国・台湾の羽毛業界団体が毎年開催しているもので
各国の羽毛製品に関する情報を報告する大変重要な会議です。
今年は京都で開催されるとのことだったので参加しました。

 

まずは中国の羽毛の状況ですが、

昨年度からホワイトダックが高騰していますが、今期も変わらず高値をキープするだろうという報告を受けました。

主な理由に挙げられたのはまずはダウンジャケットの需要拡大。そして環境規制による飼育量の減少、
さらには都市計画による羽毛メーカーの移転によって生産停止している工場が多くあるため、
生産量が減り値段が下がらない状況にあるとのことでした。


もうひとつの報告は“グルーダウン”についてです。

日本では聞きなれない言葉ですが、グルーダウンとは何かというと
“ダウンに特殊な接着剤を付けファイバーなどを付着させることでダウンボールをより大きくしたもの”を言います。

ただ所詮はくっつけているだけなので使用していくと接着していたファイバーは取れていきます。
そうするとふとんの中身がファイバーだらけになってしまい、吹き出しが発生し、最悪の場合健康被害に繋がる恐れがあるとされています。

最近中国国内でこのような非常に悪質なダウンが多く発見されており問題となっています。
そこで中国羽毛工業協会ではグルーダウンの研究を進め、その対策に乗り出しており、

現在では通常のダウンか、グルーダウンかを見極めることができるようになっているとのことでした。

日本ではまだ発見されたという事例はありませんが、羽毛のほとんどは中国から輸入されているのでここは我々も十分に注意しなくてはいけません。

 

グルーダウンのような粗悪なものが出回り、健康被害が出てしまえば
羽毛=アレルギーを引き起こす可能性のあるものと認識されかねない非常に危険な状況です。

中国、台湾、日本では“グルーダウン撲滅”を目指し日々研究と対策がとられています。

日本の羽毛組合である日本羽毛製品共同組合では、7月に【羽毛安全衛生委員会】を立ち上げました。

この委員会は羽毛の安全性と衛生面をどのように評価していくか、試験方法を確立するために新たに作られたものです。

試験においては『毒性検査』『環境ホルモン』『微生物試験』『アレルゲン試験』以上4つの項目から
具体的な基準や試験方法を現在協議中で、決まり次第運用を開始予定だそうです。

 

このように最近では羽毛の品質を見極める際に“清潔であるか”ということが注目されつつあります。

当社でも今年からより分かりやすい品質基準をお伝えするために羽毛が清潔であるかどうかを検査する
“ヘルシーダウンプログラム”の試験を実施し、合格した羽毛の商品には認定TAGを付けています。

お客様が手に取った時に中身の羽毛が確かな方法で洗浄された清潔な羽毛であるということが分かる一つの目安になればと考え積極的に取り組んでいます。

 

今回発覚したグルーダウンの衝撃は大きく、各国が対策に乗り出していますが、
この問題の発端は先ほど挙げたようにダウンジャケットの普及や環境規制、都市計画など
様々な理由で羽毛の生産量が減ってしまい羽毛メーカーが頭を抱えている状況のなか
買手側が低価格を要求してしまうという現状があり、こうした中で低価格に合わせるための手段として行われていると考えられています。

 

実際、何か商品を購入したいときに私たちが陳列しているものの中からまず手に取るのはお手頃価格な商品です。
特に羽毛ふとんの場合は中身を確認することが出来ないため目に映るものでしか判断ができませんし、
こういった背景があることは多くの人が知らないためつい価格に目がいってしまいがちになりますが、
寝ている間ずっと共にしているふとんだからこそ皆さまにももっとこのような情報を発信していき、
ふとんを選ぶ際の一つの目安にしてもらいたいと考えています。