使用中の羽毛ふとんのことについて、よく相談を受けるのが羽毛の移動です。

羽毛ふとんの縫製の構造には、立体加工と直縫い加工の2種類あります。
それを基本として各メーカーは、キルトの本数や形を変えて特徴を出しています。外見ではキルト部分がほつれたりしていないのに羽毛が移動している時はほぼ、立体加工構造のものです。立体加工構造の場合は、各ボックス毎に羽毛を入れるための通り道があります。



その通り道の穴が大きい場合は、そこから羽毛が隣のボックスに移動してしまうのです。その移動を防ぐためには、通り道の穴を最小限まで小さくする、あるいは、特殊な加工で移動しないようにする等、工夫をしているメーカーもあります。
ただ、このような工夫をするには技術と手間がかかり、1枚当たりの生産時間が長くなり、コストにも関わってきます。そこで、自社の利益を優先させるために、外見からはわからないので、移動しないようにする工夫もせずに、大きな穴の状態で商品として出荷しているメーカーもあります。

今回は、そのような羽毛が移動したふとんの修理を依頼されました。

矢印の部分のマスに本来あるべき羽毛が無く、へこんでいます…

対応としては、羽毛が移動して無くなったボックスに新しい羽毛を入れることになります。ただし、穴が大きい状態にかわりはありませんので、いずれ、また羽毛が移動してしまうと思います。根本的には側地を交換しないといけません。新しい羽毛ふとんや羽毛リフォームで作り変えをされるときは、このような構造にも注意してください。
確認方法は、縦と横のキルトが交差している所に通り道があるのがほとんどですので、その場所を指で探りながら穴を見つけて、指が3本以上入るのであれば穴が大きすぎると思われますので、ご注意ください。



穴を探してもなかなか見つからず、見つかっても指が2本程度しか入らないようであれば、羽毛の移動は少ないと思います。
弊社では、羽毛リフォームを長年させていただいておりますが、時折、弊社で作った20~30年前の羽毛ふとんが戻ってきます。その際には、当初に比べ、
どのように変化したのかを検証し、改善をしていますが、今のところ、穴が大きいために羽毛が移動してしまったものは、見当たりません。